金利についてざっくり知りたい【第1回】

最近、経済・金融の勉強がてら少額の投資を始めました。おかげで、政治・経済・金融関連のニュースをよく見るようになったのですが、得られた情報を自分の行動選択にどう活かすかがなかなか難しいですね。

特によくわからなかったのが金利です。投資に限らず、金利の仕組みを知っていると得する場面は多いと思ったので、経済や金融の本を3冊ほど読み込んで勉強しました。

そこで今回は、学んだ知識を共有したく、「金利についてざっくり知りたい」と題して解説させていただきます。

ざっくりと言いつつ、原稿をwordで書いてたら9000文字くらいになってしまったので、もしかしたら「しっかり知りたい」に変えるべきかもしれませんね。

全3回を予定しており、この記事は第1回です。第1回では主に金利が決まる基本ルールと短期金利について解説しています。

第2回では長期金利と金融政策について、第3回では為替と株価に及ぼす影響について解説しますので、よろしければこちらもご覧下さい。

お金を借りるということ

借金というとあまりイメージが良くないですが、経済学ではお金を貸したり借りたりことは基本的にいいことだと習います。

商売をするには最初に商品や素材を仕入れたり、工作機械を買ったりしなければいけません。儲かるのは商品を売った後なので、仕入れてから売れるまでのしばらくの間は、マイナスの状態となります。

もし、一切借金をせずに商売をしようとすると、最初の仕入れや設備投資の金額をすべて自分で用意しなければなりません。

コツコツためてから事業を始めるのも1つの方法ですが、借金をして事業を開始してから翌月以降、売上から少しずつ返済していくという方法をとることで、すぐに事業を開始することができます。

借金をしたら、元本の返済とともに利子を支払います。これから商売を始める人や新規事業を開拓したい企業は、自分が出せる資金利子の水準事業で儲かる公算を照らし合わせて、うまくいきそうなら借りるわけです。

ですから、金利が高くなると事業の立ち上げを断念する層が一定数現れ、反対に低くなるとそれならやってみようと思う人が出てきます。

したがって、金利の変動は事業主や企業の動向に、直接的な影響を与えます。

まとめ

  • 借金ができるおかげでお金のない人でも事業を始められる
  • 金利が変わると新規事業の積極性に影響が出る

基本ルール:金利は需要と供給のバランスで決まる

物の値段と同じように、金利は需要と供給のバランスで決まります。

例えば、お金を借りたい人はたくさんいるのに、貸してくれる人が少ないとします。すると、借りる側は貸してくれる人の取り合いになり、金利は上がっていきます。

反対に貸す人が借りる人より多ければ、金利は下がって行きます。

これが、金利が決まる一番基本的なルールです。

普通、景気がいいと金利は高くなり、悪いと低くなります。

景気が良い、つまり物がよく売れる=事業がうまくいく公算が高いときには、企業がもっと生産しようと設備投資に積極的になり、多少金利が高くてもお金を借りようとするからです。この行動が金利をさらに高い方へと導きます。

反対にものを作ってもあまり売れないときには、企業に設備投資をする余裕はなく、借り手が少なくなって、金利は低くなっていきます。

ただし、皆さんに実際関わりのある預金、カードローン、住宅ローン、リボ払いなどの金利は需給バランスだけで決まっているわけではありません。

需給バランスは、最も影響の大きいルールですが、世の中のありとあらゆる金利の値を説明することはできません。

預金や住宅ローンなどの金利は、銀行同士の貸し借りにおける金利を基準に、それぞれの貸し手が決めています。

これに関しては後で説明することにして、まずは需給バランスの力がよく働いている、銀行同士のお金の貸し借りについて見てみましょう。

まとめ

  • 金利が決まる際の最も基本的な力は需給のバランス
  • 銀行同士の貸し借りでは需給のルールがよく成立している
  • その他の金利は需給バランスで決まった銀行同士の金利を基準にしている

銀行はコール市場でお金を貸し借りする

銀行は、多くの個人から預金を集めて企業に融資をし、受け取る利息と払う利息の差=利ざやで儲けています。

世の中には預金を集めても融資先がなくてお金が余っている銀行と、反対に資金が足りていない銀行があります。

こうした銀行同士がお金を貸し借りし合う場をコール市場と呼びます。

コール市場では非常に短期的に取引が行われ、無担保で借りた翌日に返済する無担保コール翌日物が取引の中心となっています。

不足する理由は様々ですが、銀行は日々の資金不足をコール市場で借りることで補っているのです。

また、お金が余っている銀行はコール市場で貸し出すことで、一日分の利息を稼いでいるというわけです。

無担保コール翌日物の最低取引金額は5億円で1億円刻みですが、100億円単位で取引されることが多いようです。

コール市場での金利は上で説明したような、需給のルールに従って決まります。ただし、すべての銀行がピッタリ同じ金利で取引しているわけではなく、個々の金利には一定の幅があります。

その値は日銀が毎営業日発表しているコール市場関連統計で見ることができます。

日銀サイト内のこちらのページでは、その日の無担保コールO/N物レート(O/Nはオーバーナイト)を確認することができ、最高〇〇%・平均〇〇%・最低〇〇%というように表示されます。

ちなみに、コール市場のコールは、呼べばすぐに帰ってくるほど短期間という意味で名付けられたそうです。

まとめ

  • 銀行はコール市場でお金を貸し借りする
  • 無担保コール翌日物が一番よく取引され、この取引における金利は需給の法則にほとんど正確に従っている

無担保コール翌日物の金利は短期金利の代表値

貸付期間が1年未満のすべての金融商品の金利を短期金利と呼びます。

個人が銀行にもっている普通口座や1年未満の定期口座の利率や、企業への一年未満の貸し出しの金利を始め、無担保コール翌日物も短期金利に分類されます。

基本ルールのところで述べたとおり、無担保コール翌日物の金利は他の短期金利の基準の役割を果たしています。

つまり、コール市場で需給ルールにより決定した金利を元に、他の短期金利が決まってくるという仕組みになっています。

したがって、預金の利率などの短期金利たちは、無担保コール翌日物の金利と大きくかけ離れた値にはなりません。

仮にある銀行が無担保コール翌日物の金利よりあまりにも低い金利で企業に融資をすると、その銀行は企業からもらう利子より高い利子をコール市場で払わなければならなくなるからです。

反対に高すぎる金利をつけた場合、より低金利で貸してくれる銀行に顧客を取られてしまいます。

このような理由で、銀行から企業への貸付にかかる金利は、無担保コール翌日物の金利より少し高いくらいで落ち着くようになっています。

企業への一年未満の融資にかかる金利のうち、優良企業に適用される金利は短期プライムレート(短プラ)と呼ばれています。

優良企業は業績がよく財務も透明なので、貸し倒れのリスクが低くいため、最も低い金利が適用されます。

その他の企業に関しては、その企業の業績や信用を踏まえて、短プラに上乗せされた金利が適用されます。

短期プライムレートの値は各銀行が発表していますが、日銀が最頻値・最高値・最低値をまとめた表を作っており、そちらを参照するのがわかりやすいでしょう。

まとめ

  • 無担保コール翌日物の金利がその他の短期金利の基準になっている
  • 企業にとって最も大事な短期金利は短期プライムレート
  • 短プラは信用力の高い大企業に適用される金利

実際に適用される金利の決まり方

これまで度々述べているとおり、実際にある個人や企業がお金を借りる際の金利は、基準はあるもののそれぞれのケースで異なります。

一般的には、貸し倒れのリスクが高くなるほど金利は高くなります。

例えば、貸付期間が長くなるほど貸している間に事故や天災に見舞われる確率が上がりますから、貸し倒れのリスクが高くなり金利も高くなります。

また、借りる個人や企業の信用が低い=お金が戻ってこないかもしれない場合も、金利は高く設定されます。

信用の低い借り主達からは高めの利子を取っておかないと、実際にその中の何人かが支払い不能に陥ったときに、銀行が大損をしてしまうからです。

日銀が発表しているプライムレートの統計を参照すると、実際に短期プライムレートより長期プライムレートのほうが高くなっていることが分かります。

また、各社のカードローンの金利を調べてみると、限度額がより高い(=より信用が高い)人に対しては金利が低く設定されています。

このように、リスクが大きい人や企業ほど高い金利を要求されることをリスクプレミアムといいます。

銀行の立場で考えれば、大きいリスクを取った分、リターンが大きくないと割りに合わないとも言えます。

まとめ

  • リスクが高い人や企業に課される金利は高くなる
  • 普通貸付期間が長いほど金利は高くなる

まとめ

今回の記事で一番伝えたかったことは、銀行同士がお金を貸し借りしあうコール市場で、無担保コール翌日物の金利が需給バランスにより適正に決まり、これを基準にその他の短期金利が決まってくるということです。

次回は長期金利と金融政策について解説していますのでこちらもぜひご覧ください。