化学や生物の分野で、エンド〇〇やエキソ〇〇といった用語がたくさん出てきます。
それぞれラテン語の内と外を意味する、endoとexoに由来する言葉です。
例えば、生物で出てくるエンドヌクレアーゼとエキソヌクレアーゼという用語があり、ともにDNAやRNAを分解する酵素です。
ポリヌクレオチドの糖-リン酸結合を切断するヌクレアーゼのうち、ヌクレオチドの途中(内側)の結合を切断するのがエンドヌクレアーゼで、端(外側)から分解していくのがエキソヌクレアーゼということになります。
ちなみに、DNAやRNAの両端は対等ではなく、3’末端と5’末端というふうに区別されています。すると、エキソヌクレアーゼには5’から分解していくものと3’から分解していくものの2種類が考えられ、それぞれ5’→3’エキソヌクレアーゼと3’→5’エキソヌクレアーゼと呼ばれています。
エンドを終わりと解釈してしまうと、エンドヌクレアーゼのほうが端から分解しそうだと勘違いしてしまいますので注意してください。
ヌクレアーゼ以外にもエンド・エキソがつく用語はたくさんあります。
- エンドサイトーシス(endocytosis)とエキソサイトーシス(exocytosis)
物質を細胞の中に取り込むのがエンドサイトーシスで、外に放出するのがエキソサイトーシス。
- エンドサーミック(endothermic)とエキソサーミック(exothermic)
化学反応で、熱(サーマル)を取り込む反応(吸熱反応)がエンドサーミックな反応で、発熱反応がエキソサーミックな反応。
- エンダーゴニック(endergonic)とエキサーゴニック(exergonic)
英語で書くときはつづり注意です。endoとexoの最後のoがなくなっています。
反応の前後で、系のギブズ自由エネルギーが増えるのがエンダーゴニックな反応で、減るのがエキサーゴニックな反応。日本語では吸エルゴン的、発エルゴン的と言うらしいです。
エルゴンはエンタルピーにエントロピー×温度を含んだ表現になっていますね。自由エネルギーそのものだと思っても構いません。つまり、定圧下での自発変化は必ずしも発熱反応とは限りませんが、必ず発エルゴン反応になります。
\Delta G=\Delta H-T\Delta S
endoとexoはふとした時にどっちがどっちだっけ?となるので、覚え方を紹介します。
- endoはenterー中へ入る
- exoはexitー外へ出る
本当にenterとexitの綴の由来がendoをexoなのかはわかりませんが、私はこれで覚えています。