研究室の教授を英語でどう呼ぶべきかは日本語話者的にはちょっと迷うところがあると思います。
外国の教授にメールを送るときや、海外に留学が決まったときなどに、よくぶち当たるのがこの「教授を何と呼ぶか問題」です。
また、日本国内の研究室でも外国の教授や准教授、ポスドク、先輩留学生などがいる場合、それぞれどう呼ぶか迷う場合もあるでしょう。
結論から言えば、単にProfessorかDr.+姓で呼ぶのが最も無難です。しかし、避けたほうがいい表現や、絶対に使ってはいけない表現などもありますので、順に詳しく解説していきます。
Dr. は博士号取得者全員に使用可能
大学の教授は基本的に全員博士号を取得しています。ポスドクも博士号を取得していますので、彼らに対してはDr.で呼ぶことができます。
Dr.はDoctor of philosophyに由来します。直訳すると哲学博士ということになりますが、専攻に関わらず哲学博士の称号を得るのは、中世の大学では、神学・法学・医学が主要な学問でそれ以外は哲学というふうに分類していたからだそうです。
博士号をとるには大学卒業後にさらに約5年の博士課程を修了する必要があり、この功労を讃えて、Dr.という敬称が使われるのです。
博士号取得者にMr.やMs.などの一般の敬称を使うのは、我々が想像する以上に失礼な行為に当たるようです。実際、私の友人が学部一年生の頃、教養の英語の授業のときに女性の先生をMs.〇〇で呼んだところ、めちゃくちゃ怒られてました。(本人はなぜ怒られたのかその時は理解していなかったようです)
また、女性の未婚・既婚区別する敬称Miss.やMrs.は、近頃は大学内に限らず社会全体で使用が控えられる傾向があります。
いずれにしろ、博士号取得者に対してはDr.+姓が最も適切な表現となります。
Dr.の後ろには必ず姓をつけます。絶対に名で呼んではいけません。
講義をする人は全員Professor
大学教員には助教授、准教授、教授、名誉教授などの階級があります。これらは英語でそれぞれ、Assistant Professor, Associated Professor, (Full) Professor, Emeritus Professorとなります。
したがって、厳密にはProfessorは教授の階級を指す言葉になりますが、区別せずに講義をする人はみなProfessorと呼びます。
また、講義をする人の中には、博士号を取得していない方がいることもありえます。例えば、博士課程の学生が訓練の一貫として教授の代わりに授業をすることや、博士号未取得の方が外部から講師として招待されたということが考えられます。
この場合でも、先生のことをProfessorと呼ぶのは適切な表現です。
講義室で先生に話しかける際は、難しいことは考えずにExcuse me, Professor.で大丈夫です。
Ph.D.でもProfessorでもない人には一般の敬称を使うしかない
(大学院生または博士号未取得の職員)かつ講義をしている人ではない場合、Dr.やProfessorで呼ぶことは変なので、Mr.やMs.で呼ぶほかありません。
上でも述べたとおり、女性の敬称Mrs.やMiss.は避けたほうがいいです。
さらに厄介なことは、英語には中性的な敬称が存在しないということです。日本語の「さん」のような万能の敬称がないため、トランスジェンダーやジェンダークィアの方がいた場合、ちょっと注意が必要です。その方がPh.D.やProfessorであるか、事前にどっちで呼んでと言われているなら問題ありませんが、わからない場合はWhat should I call you?と聞いてみるのが一番いいと思います。
もし、トランスジェンダーであるとか知らされていない場合は、見た目に最も合う敬称を使用しましょう。
教授にYouを使うことへの抵抗感
話はちょっとそれますが、関連して伝えたいことがあります。
日本語には様々な二人称があり、相手の立場によって使い分けます。
一方英語はすべてYouです。友達にも教授にもYouを使いますので、教授にお前と言っている気がしてなんとなく失礼なんじゃないかなと感じますが、全然そんなことはありません。
教授にYouは使って大丈夫です。
まとめ
教授に、「〇〇って呼んでね」と言われたら一番楽なのですが、そのような言及がなかった場合は以下のルールに従いましょう。
- 博士号取得者に対して一番無難な表現はDr.+姓。
- Excuse me, Professor.は汎用性が高い。
- Dr.でもProfessorでもない人にはMr.かMs. Mrs.とMiss.は使わない。
- 迷ったらWhat should I call you?
以上です。