【無機実験】禁水試薬〜塩化スルフリルの体験談

どうも、ご無沙汰しています。サブです。最近疲労やドタバタがありましたが、今も相変わらず元気に暮らしております。また最近は漫画にハマり始めました。なかなか面白くて、ついバーっと読んでしまうんですよね。

久々の投稿なのですが、今回は、塩化スルフリルという禁水試薬を実験で使った体験談をお話ししようと思います。私は普段は、どちらかというと測定を中心にやっていて、合成に力を入れているわけではなく、したがって、そこまで危険な合成はやりません。しかし、この塩化スルフリルを使った実験は別物でした。かなりスリリング、しかしながら楽しい実験でした。

そもそも、塩化スルフリルとは何か。分子式はSO2Cl2です。、、、見るからにやばそうな化合物ですね笑。塩素と二酸化硫黄があります。毒ガスでも出てくるんじゃないか、という雰囲気をたたえています。そうなんです、この化合物、水と反応すると、硫酸と塩酸が発生するんです。こんなの、目にでも入ったら失明間違いなしです。取扱には細心の注意を払わなくてはいけません。

では次に、問題の実験についてお話ししましょう。塩化スルフリルを使った実験をしたのは今年の5,6月くらいだったでしょうか。フェロセンにクロリドを付けたかったんです。で、合成方法を検索してみると、フェロセンに塩化スルフリルを混ぜろ、とある。それで、塩化スルフリルを発注したんですよね。しかしいざ届いて見てみると、蓋のない遮光びんに入っていた。どうやらあまりにも水との反応性が高いので、保存ができず、やすりで瓶を切って一回で使い切らなくてはいけないようです。

当然空気中の水分とも反応してしまうので、実験は窒素下で行わなくてはいけません。フェロセンを溶媒に溶かし、窒素を流した状態にしました。ここに塩化スルフリルを入れるわけですが、瓶を切って開封する時はどうしても空気中で開けざるを得ません。開封してから投入するまで、スピード勝負なわけです。

いざ開封しました。すると、何やら白煙が瓶の中から立ち上ってきます。そうです、空気中の水との反応によって、硫酸や塩酸ができて、それが立ち上ってきているのです。ひどく焦りましたが、スピードが命なのでウカウカしていられません。急いで投入して蓋をし、ことなきを得たのでした。

化学の道に進むと、時にはこのような危険な実験をすることもあります。もちろん危ないのですが、同時に、充実感もあります。ああ、今俺は実験をしているのだ、と。でも、安全に実験をするのが一番なんですけどね。