【化学の魔界】垣間見た、溶媒の世界

白い白衣を♫脱〜が〜さ〜ないで♫(もしもおニャン子クラブのメンバーが博士(理学)を持っていたら)どうも皆さんこんにちは。理学部化学科の国生さゆりことサブです。

今回は、私が実験中に体験した(垣間見た)、「溶媒の沼」についてお話ししようと思います。一旦ハマると抜け出せないな、と思ってしまいましたね。

それはとある実験での出来事でした。自分がある化合物を合成しようと思ったんですね(合成方法はとても簡単で、2種類の化合物AとBをそれぞれ水に溶かして混合させる、と言うものです)。

しかしいざやってみると、もう一方の化合物Aが溶けないこと溶けないこと。しょうがないので、化合物Aを別の溶媒に溶かしてみることにしました。ジクロロメタンにその化合物Aが溶けることはわかっていたので、それをジクロロメタンに溶かした状態でもう一方の水溶させた化合物Bと混合させることにしました。

しかしながら、当然ですが、水とジクロロメタンは混ざらないので、したがって反応が進行してくれません。ですので、両方の化合物ともジクロロメタンに溶かして反応させれば良い、と言うことになりました。しかしながら、Aは実は吸湿性があって、そのためにAの表面が水でコーティングされてしまってうまくジクロロメタンに溶けてくれませんでした。

ここから、自分は(助教の方も巻き込んで)溶媒の沼に嵌っていきました。

その後も、水にコーティングされたAを溶かすために、水と混和するような溶媒を試してみたのですが、なかなかうまくいきません(そもそも、水への溶解性がAはあまり高くありませんでした)。コーティングしている水に邪魔されて、Aが溶けてくれないのです。

ついにはDMFも試してみたのですが、白濁してしまってうまくいきません。ここまで来ると、自分ももうどうしたら良いのかよく分からなくなってしまい、『違う溶媒同士を混ぜて、最適な溶媒を作るしかないかあ?』とすら思ってしまって、作業が途方もなく思えてしまいました。、、、溶媒は沼ですよ、沼。頭がおかしくなりそうでしたよ、ほんと。

結局、Aは水温をあげると全部溶けてくれて、めでたく反応を進めることができたのですが、溶媒は怖いな、と心から思った瞬間でした。皆さんも、嫁姑と溶媒にだけは気をつけましょう。(ですが、溶媒って面白いな、とも思いました。苦労して化合物を溶かすことのできた瞬間というのがこんなにも気持ちいいんだな、と思えました)